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島田の民話「長島橋の怪物」

長島橋の怪物


むかし。ある年の夏のことであった。

伊久美の村に、何やらきみょうなうわさがたった。

「夜になると、長島橋あたり化け物が出るそうな。」

「女、子どもは、とってくわれるっていうから、夜歩きゃあできん。」

村びとたちは、そういいあい、おそろしがって、夜になると出歩く人はいなくなった。

 もともとさびしい山里の夜だったが、そんなうわさが広まってからは、日が落ちると、早々に、しんと暗く死んだような里になってしまった。

 村には、気の強いひとりの役人がいた。

「化け物だと。そんなものが出るはずがあるまい。きっとやみに乗じて悪さを働く悪党のしわざにちがいない。」

と、役人は、日が沈むと火なわ銃をかかえて、村じゅうの見まわり出ていた。

 ある夜、いつものように見まわりに出た役人が、あたりに気をくばりながら、長島橋までやってくると、ざわざわっと何やらあやしい物音が聞こえてきた。

 役人は、はっとして音のする方にむかって身がまえた。

 すばやく火なわをともし、銃をかまえて、

「だれだっ。 出てこい。」

と叫んで、やみをすかすようにして見ると、くらがりのなかにぼーっと、見上げるような大入道が、役人につかみかかるように近づいてくる。

「村びとをたぶらかしているのはお前か。この不届者め。」

 役人は、大入道にむかって大声でそう叫ぶと、かまえていた火なわ銃の引き金をひいた。

 だだあーん。くらやみのなかに鉄砲の音がこだました。と、どさっと、たしかな手ごたえがあって、大入道の姿はやみのなかにとけ入るように消えていった。

 よく朝。役人は、昨夜の怪物の正体を見とどけようと明るくなるのを待って、再び長島橋のあたりに行ってみた。

 すると、そこには血のあとが点々と残っていて、そのあとをたどっていくと、一本の杉の木の前で消えていた。杉の木の幹には、昨夜役人がうった火なわ銃のたまがつきささっていた。

 そんなことがあってからは、大入道の姿を現わすことはなかった。

けれども役人は、その後もずっとあの夜のことが気になってならない。

「杉の木のところで血のあとは消えていた。いったい何だったのか、あの怪物は・・・。」

 役人は、ときどきそうつぶやいては、ふしぎがっていたが、ある夜、もう一度その場に行ってみることにした。

 長島橋のたもとで、じっと待っていると、しんしんと夜がふけたころ突然山の中からにぎやかな話し声が聞こえてきた。

(こんな人里はなれた山の中、しかも夜ふけに、いったい何ものだ。おかしなこともあるものだ)

と、身をひそませて、ようすをうかがっていた。

 すると何ということか、ぞろぞろぞろぞろ化け物の行列がやってきた。

 大入道がいる。のっぺらぼうもいる。ろくろっ首ひょろひょろ頭をふってやってくる。

 さすがの役人も、おそろしくなってぶるぶるふるえだした。それでも気をとりなおして、(この化け物め、いったいどこへ行くつもりだ。それを見とどけなければ・・・。)と思ったが、動こうにも足腰がたたん。 

 化け物は、だんだんこちらに近づいてくる。役人はもうむがむちゅうで、火なわ銃をうった

 ばずーんと音がひびくと、そのとたん、化け物の行列はすーっと消えて、あとは、何ごともなかったかのようなやみがひろがっていた。

 役人は、目をこすりこすり、村に帰り、村びとたちに話した。

 それを聞いた村びとたちは、

 「そりゃあ、きっとふるだぬきか、ふるぎつねのしわざじゃ。」

と、うわさしあったということさ。

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