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川根の民話「蛇松峠」

蛇松峠


東の空に日が上りはじめた、ある夏の朝、ひとりのおじいさんが、田の見回りをしようと野守の池の近くにやって来ました。

そのころ池のまわりには家もなく、岸辺のしげみに小鳥が巣を作っているだけでした。みどり色の水をたたえた池は物音一つせず静まりかえっていました。

おじいさんは、池の水面に目を移すと思わず立ち止まりました。小波一つない水面に何かが映っているのです。じっと目をこらしているうちに、おじいさんの顔はまっ青になってきました。池に大蛇の影が映っているのです。お寺の大木よりも太い胴、鬼瓦よりも大きな目をした頭が野守の池をうめていました。

おじいさんは、びっくりして、腰をぬかしてへたへたと、その場にすわりこんでしまいました。おそるおそるあたりを見回しましたが、大蛇はどこにも見あたりません。

おじいさんは、おそろしくておそろしくて、いちもくさんに家ににげかえりました。

「ば、ばあさんや、大蛇だ、野守の池に大蛇の影が映っている・・・。」と、言うなり気を失ってしまいました。

「野守の池に大蛇が出た。」

「いや、池に大蛇の影が映るそうだ。」と、このうわさは村中に広がっていきました。こわいもの見たさに、大ぜいの人が野守の池にやってきました。

朝のきまった時刻になると、大蛇の影が頭を西に尾を東にして大きく映るのです。大蛇の姿はどこにも見えないのに水面に影だけが映る不思議さに人々はおどろき何か悪いことでもおこるのではないかと、不安はつのるばかりで、仕事も手につきませんでした。

「なんとかして、この大蛇の正体をつきとめなくては。」と、村中この話でもちきりでした。

こんな話を聞いたいせいのよい若者が、「大蛇は東の方にいるにちがいない。」と、村人に告げ、正体を明かしにでかけることにしました。

若者は、東の空にのぼる朝日をめざして、大井川を渡り、坂をこえて道もない山中を歩いて行きました。沢ぞいに細い道を見つけ、夏草をかきわけて登っていくと峠に出ました。やれやれと大きな松の木の下に腰を下ろしました。

「それにしても、大蛇はどこにいるだかなぁ。」

と、何げなく、大松をみあげると、若者はあっとおどろきました。

大蛇です。あの野守の池に映る大蛇です。若者は気を失いそうになりましたが、目をとじて気を落ちつかせ、もう一度よく見直しました。確かに大蛇そっくりですが、大きな松にちがいありません。

「ああ・・・この松の木の影が、野守の池に映ったのだ。それが大蛇そっくりだったのだ。」

「おおい、大蛇はここだぞう。」

その大きな声は、谷を渡り、山を越え、家山までにもとどきました。

若者の声をききつけた村人は、「どこだ、どこだ。」

と、手に手に、えものを持ち山のふもとに集まりました。そこへ山をかけおりてきた若者と出会い、大蛇の正体をつきとめた話をきき、ほっと胸をなでおろしました。

それからは村人も安心して野良仕事に精を出すことができました。

後に、この松を蛇松と呼ぶようになりました。

この松にあやかって、峠を蛇松峠と言うようになり、人々の往来の守り神としていつのころか、お地蔵さんが安置されました。

 

 

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